北斗七星

北斗七星 2002年5月20日付 Vol.941

2002/05/20 15:38

週刊BCN 2002年05月20日vol.941掲載

▼ADSLの普及が4月末で300万回線を突破、月30万回線ペースを維持しながら拡大している。昨年の今頃を考えると、まさに隔世の感があるが、新たな胎動も始まっている。1つは、VDSLである。チップの開発状況などからいけば、今年末頃からサービスが開始されるようだ。VDSLにはいくつかの方式がある。上り、下り双方で40Mbpsを保証する対称方式では、伝送距離は1.5kmが限界といわれる。その辺りに難点はあるが、ビル内あるいは集合住宅内なら、入り口まで光ファイバー、後はVDSLという使い方はかなり現実的なようだ。

▼もう1つの注目技術である電灯線を使うPLC(Power Line Communication=電力線通信)の方も、技術的には着実に進化、2.5-24Mbpsのめどは立ちつつあるといわれる。こちらでネックになっているのは法規制だが、電力線搬送波の拡大に向けて総務省が法改正に乗り出そうとしており、屋内については来年夏頃には実用化段階に入るだろうと見られている。

▼屋内だけで利用するなら、電力線用モデムをパソコンにつなぎ、そのモデムは通常の電力コネクターにつなぐだけでよい。現状でも2Mbpsは保証、1年後なら50Mbpsは可能になるのではないかともいわれる。屋内の近距離通信としては、Bluetoothや無線LANが注目されてきたが、どうやら意外なライバルが登場しそうな気配である。無線の場合、壁があったり、2階に飛ばそうとすると問題にされてきた。電力線用モデムは1万円程度で製品化を狙っているところもある。無線とは補完的役割を果たすと見る向きもあるし、ユビキタス時代の屋内通信手段のエースになると見る向きもある。通信の高速化、まだまだ目が離せない。
  • 1