北斗七星

北斗七星 2002年7月29日付 Vol.951

2002/07/29 15:38

週刊BCN 2002年07月29日vol.951掲載

▼住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の動きがにぎやかになってきた。総務省は8月5日からの運用を目指して、まず今月22日に仮運用をスタート。同省の発表によると、24日までの3日間で62件のデータ送信トラブルがあったという。それでも「システム障害などの大きな問題は起きていない」としている。

▼一方、住基ネットに懸念を示す自治体も多い。福島県矢祭(やまつり)町は、住基ネットへの不参加を表明した。高知県の橋本大二郎知事は、「メリットを感じない。私が市町村長だったら運用は見送る」と発言。自治体レベルでは反対の狼煙(のろし)があちこちから上がり始めている。

▼ところで、このように議論喧しい住基ネットだが、その中味について、私たちはどこまで理解しているのだろう。住基ネットで何ができるのか、どう便利になるのか、どこに問題があるのか、必ずしも整理できていないのではないか。

▼「居住地以外からでも住民票の写しが取れる」。これは確かに便利だけれど、それほど必要性は感じない。「個人に11ケタの番号をつけて行政手続きのオンライン化を促進する」。知らぬ間に自分に番号をふられるなんて、ちょっと気味が悪い。「個人情報漏洩の危険性がある」。確かに、アンケート業者が自宅の住所を知っているなんて不思議だ。住基ネットはe-Japan構想が目指す電子政府実現には欠かせない。しかし国民に理解を得られないままでのスタートも問題だ。
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