Special Feature
米IBM、ワトソン研究所を公開 現在の計算技術にニューラルや量子を融合
2025/08/11 09:00
週刊BCN 2025年08月11日vol.2071掲載
(取材・文/下澤 悠)

「ビット、ニューロン、キュービット」をハイブリッド環境で提供
ワトソン研究所では、ジョージ・トレウスキ・IBM Think Labプログラム・ディレクターが、同社のコンピューティングのビジョンを解説した。ビット(従来型のコンピューター)、ニューロン(AI)そしてキュービット(量子ビット、量子コンピューター)の三つの領域を研究・開発し、それらをハイブリッドでユーザー企業に提供することを強調。傘下の米Red Hat(レッドハット)のコンテナ基盤「OpenShift」を通じて、異なる3領域をあたかも一つの領域であるかのように感じられるかたちでユーザーに利用してもらうことを目指すと意気込んだ。
従来型コンピューター領域での取り組みとしては、ラピダスとの協働による技術を用いた実際の半導体ウエハーなどを展示。AI領域では、2025年第4四半期にサーバー製品に搭載予定の「IBM Spyre アクセラレーター」の特徴を説明。推論という特定の用途に特化しているため、AIアプリケーションの実行でGPUよりも電力消費を大幅に削減できる強みがある。また研究段階の技術として、チップの中にニューラルネットワークを直接組み込む「アナログAI」などを解説。従来のデジタルの0か1ではなく、0から10の重みをデバイス内の回路の抵抗値としてマッピングする手法を用いる。材料などを一から確保する大きなプロジェクトのため開発は簡単ではないが、成功すればデジタルと比べ電力効率を50倍高められる技術だという。

量子コンピューターについては、最新の「IBM Quantum System Two」の実機を前にして構造などを説明。System Two内部には量子プロセッサー「Heron」が三つ搭載されており、ヘリウムを用いた冷凍機で絶対零度の環境を保つ。同機は理化学研究所にも導入されており、前世代機の「IBM Quantum System One」は東京大学などが川崎市に設置している。

「Heron」
- メインフレーム資産をAIが理解し技術者の退職問題を解決
- 29年までに誤り耐性量子コンピューターを提供
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