北斗七星

北斗七星 2002年8月12日付 Vol.953

2002/08/12 15:38

週刊BCN 2002年08月12日vol.953掲載

▼自衛隊の情報通信網システムのデータ漏洩が問題になっている。富士通サイドからの内部漏洩でデータが流れ出したということのようだ。富士通といえば、住基ネットのシステム構築でも主導的役割を果たした。「住基ネットで儲けたのは富士通だけ」とやっかみ半分の声も漏れてきていたが、今回の問題を聞くと「内部漏洩は大丈夫かな」とつい思ってしまう。

▼セキュリティ対策で、真の問題は組織内個人のモラル確立だというのは今では常識となっている。ハッカーなど外部の侵入者がデータを盗んでいくのはほんの数%、情報漏洩の大部分には内部の人間が関与しているという。はからずも、今回の問題はこの通説を裏付けた形である。

▼セキュリティ対策が、個人のモラルの問題になると、従来とどこが違うんだということになる。これまでも情報漏洩はあった。ネットにつながったとしても、本質的には組織内個人を教育し、モラルを高めていくしかない。

▼逆に、ネットワークにのることで、ログ追跡ソフトなどを使えば盗んだ当人にたどり着くのは容易という側面も生まれているようだ。ログ追跡ソフトも進化しており、たとえば、誰が、いつ、どのファイルにアクセスしたか、ダウンロードしたかなどのデータを追跡することができる。個人的には、そんなソフトは導入して欲しくないなとは思うが、公的機関には必須だろう。隠れて導入するのでなく、ログ追跡ソフトを導入したぞと声を大にすることで、抑止効果も期待できる。
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