Letters from the World

サービスレベル契約

2002/09/30 15:37

週刊BCN 2002年09月30日vol.959掲載

 日本でも最近はそうだが、インターネットで専用回線を契約する場合に、インターネット回線が100%アップしていない場合があり、そのような場合にどのような保証をしてくれるかを明確にしたサービスレベルアグリーメント(一般的にSLAと呼ばれる)がある。この契約ユーザーを守るためにあるものだと思っている人が多いのだが、これは大きな間違いだ。

 米国でデータセンターを運営する私の会社には、SprintやAT&T、Verizonと言った会社から専用回線を引き込んでいる。これらの会社はすべて私の会社とSLAを結んでいる。これは回線がダウンした時間と、それにたいする保証に関するものだ。例えばSprintの場合、1分でもダウンすると3日分の回線費用が不要になる。これはSprintのコマーシャルでも言われている。

 しかし、これには大きな嘘がある。確かに1分間でもダウンすると3日分の支払いは不要になる。しかしこれは実際に3日ダウンしても3日分の支払いは不要になることには何のかわりもない。それだけではない。Sprintの場合、1年間で払い戻しが可能な金額の合計が決まっている。1年間の支払いの上限は約3か月分なのだ。それでは実際に3か月分のクレジットをもらったとしたら、それ以降何回ダウンしてもいっさいのクレジットはもらえない。要するに1年間ダウンしても9か月分の支払いは頂くというものだ。

 しかも、ダウンには色々な原因がある。例えば、定期的なメンテナンス。24時間前に伝えたメンテナンスはダウンの時間に関係なくSLAの対象ではない。また、ローカルループ(私の会社のデータセンターからSprintまでの回線)は、SprintのSLAには含まれない。あたかもお客様に自社のサービスをアピールするように書かれているSLA、実は回線会社の保険のようなものなのだ。要するにSLAに示された内容以外の項目はいっさい保証しないと言うものなのだ。そのあたりを理解することが大切だ。
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