北斗七星

北斗七星 2002年10月28日付 Vol.963

2002/10/28 15:38

週刊BCN 2002年10月28日vol.963掲載

▼暴力の連鎖が止まらない。10月13日、インドネシアのバリ島で爆弾テロ。死者180人以上。18日、フィリピンのマニラで路線バスが爆発、3人が死亡、20人以上が負傷。21日、フィリピンのミンダナオ島で爆弾が爆発、2人死亡、12人が負傷。21日、イスラエル北部で自爆テロ。バスの乗客ら14人が死亡、約50人が負傷…。不良債権処理問題と北朝鮮による拉致事件の被害者の帰国問題で手一杯の日本から外に目を向けると、そこには果てしない暴力の連鎖が続いている。

▼今年のノーベル平和賞は、元アメリカ合衆国大統領のジミー・カーター氏が受賞した。国際紛争の平和的解決への努力が認められた結果だという。彼が大統領在任中に起こったテヘランのアメリカ大使館占拠事件では、その弱腰ぶりから激しい批判を浴びた。そんな人物が、大統領退任後の活躍で高い評価を受ける。しかも、現在の米ブッシュ政権のイラクに対する強硬姿勢にぶつけるかのような今回の受賞。賞自体への賛否両論はさておき、あえてこの時期でのカーター氏の受賞は高く評価されるべきだろう。

▼かたや平和へのたゆまぬ努力がなされている一方、それをあざ笑うかのように世界各地で頻発するテロの嵐。加速する暴力の連鎖を前にして、私たちは何を考え、どう行動すべきなのだろう。一連のテロとノーベル平和賞。私たちが世界とつきあっていくうえで、どうふるまっていけばいいのかを考えるヒントになる出来事である。
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