Letters from the World

ソフトウェアシティ武漢

2002/11/04 15:37

週刊BCN 2002年11月04日vol.964掲載

 武漢は中国のど真ん中に位置し、交通の要所である。巨大な長江が中心を流れ、またその支流の漢江が直角に交わっている。三国志の舞台としても有名であり、長い歴史のある都市である。辛亥革命がここ、武漢で1911年に孫文によって起こされた。中華民国はここで誕生したわけだ。

 台湾から訪れると、なにやら感慨深いものがある。また、上海とならび、列強の租借地となり、商業都市として当時大いに繁栄したという。長江沿いには、フェリー港や、税関の建物がある。その周りには、ヨーロッパの如く、エキゾチックな洋風建築がならんでいる。そんな歴史ある大都市、武漢市であるが、現在の中国では、ソフトウェアシティとして秘かに注目されている。

 当市は900万人の人口をもつが、20以上もの大学や専門学校があり、大半は理工系である。そこから輩出される多くのエンジニアの卵たちは、他の大都市の企業や、沿海部のソフトウェアパークへと就職する。しかし、当地へとどまり、ベンチャーを興す起業家も少なくない。街中には光ファイバーが敷き詰められており、中国でも指折りの情報インフラが整備される。

 泊まったホテルもブロードバンドインターネットへ無料接続でき、大変便利であった。ここでは、国土開発やインフラ整備にかかせない、GISシステムの開発をしているソフトウェア会社が4社も集中している。発展のスピードが速い中国では三次元のデジタルマップを元にした、GIS技術などが必須である。湖北ソフトウェア産業基地は300ものソフトウェア会社が建ち並び、その輸出額も1200万ドルを超える。インテルが地元企業に資本参加をするなど、海外企業も最近は大変に着目している。ハードばかりに目が向きがちの中国であるが、武漢や、成都など、ソフトに強い都市もあるのである。

(中国・武漢発)
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