BCN FORUM

敵に塩を送る弱者連合

2002/11/25 15:27

週刊BCN 2002年11月25日vol.967掲載

 ヤフーBBと競合するプロバイダが合従連衡を模索している。全国および米国へ一律7.5円のBBフォン(IP電話)を武器に急成長するヤフーBBに対抗するために、(1)ビッグローブとハイホー(松下電器産業)は、KDDI・日本テレコムと組み、(2)ニフティとソネットは、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)と組んで、IP電話サービスを始める。格安のIP電話メニューがないと、新規会員を獲得できないからだ。

 ところが、11月20日になって、ビッグローブとハイホーがNTTコムと相互接続すると発表。同胞であるKDDI・日本テレコムを差し置いて、競合と組む格好だ。

 NECでは、「当陣営を代表して競合陣営であるNTTコムと接続試験をする」と話す。だが、実際には特定キャリア(通信事業者)に依存するのは得策でないとの判断が働いたようだ。

 今後、NTT東西地域会社などが格安でIP電話を始めた場合、プロバイダがキャリアを選べないリスクは高い。

 月間20万人の新規ADSL会員を獲得するヤフーBBの前では、いまや「弱者連合」との印象もある各連合体に対して「IP電話の分野においては大団結するべき」との声は根強い。このまま分裂状態が続けば、孫正義社長の高笑いが聞こえてきそうな雰囲気である。
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