北斗七星

北斗七星 2002年12月2日付 Vol.968

2002/12/02 15:38

週刊BCN 2002年12月02日vol.968掲載

▼三重県の北川正恭知事が先週、来年4月の知事選に「出馬しない」と表明、任期2期目での引退を宣言した。北川知事といえば、BCN本紙にもキーパーソンとしてご登場願った(2002年1月14日付、924号)ほど、地方のIT化にかける意気込みには並々ならぬものがあった。高速ネットワーク環境を活用した各種の実証実験を進めるにあたり、「インフラは前提として必要な設備だが、重要なのは、その後のソフト、サービス」、「失敗の連続だが、失敗を繰り返す覚悟も必要」と強調していた。

▼ITによる行政のBPRを標榜する“改革派知事”の1人だっただけに、突然の3選不出馬表明は、同氏と歩調を同じくするIT先進自治体の知事の間にも、「寂しくなる」との声も多く聞かれるようだ。もちろん行政組織という性格上、いったんIT化へのレールが敷かれれば、事務方は否でも応でも突き進まざるを得ないが、地方のIT革命は、これからがまさに正念場。さまざまな圧力を押しのけIT化を推進するうえで、強力なリーダーシップをもつ改革派知事の輪が拡がることに期待は大きかった。

▼永田町や霞が関界隈で、小泉首相の評判がすこぶる悪い。そんななか、今後、北川知事は再び中央政界に身を転じるのではとの見方が飛び交っている。日本を中央から変えるか、地方から変えるか。北川知事の心の内は知る由もないが、閉塞感が漂う中央とは裏腹に、岐阜や宮城県知事の元気一杯の姿を見るにつけ、北川知事にももう少し地方で踏ん張って欲しい気もする。
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