北斗七星

北斗七星 2003年2月24日付 Vol.979

2003/02/24 15:38

週刊BCN 2003年02月24日vol.979掲載

▼査察を継続するのか、それとも武力行使に踏み切るのか。世界中が固唾をのんでその成り行きを見守っているイラク問題。2月14日に国連監視検証査察委員会が国連安全保障理事会で行った報告では、「改善は見られるが十分ではない」として、引き続き査察を継続する方向へと動いている。もっとも、米英両政府は強硬な姿勢を崩していない。「戦争が始まった」という最悪の事態には至っていないが、まだまだ予断を許さない情勢だ。

▼そんななか、軍事行動に反対する集会やデモが世界各地で開かれた。ロンドン、パリ、ベルリン、サンフランシスコ、ニューヨークなど、世界中の大都市で多くの市民が反戦を訴えている。着々と軍隊を配備している米政府の動きを報じるニュースに接していると、ともすれば「戦争は不可避」とあきらめムードになってしまうが、それでも「NO!」とはっきり意思表示をする人々の行動には心打たれる。

▼独のフィッシャー外相は、イラクに対する武力行使について、次のように語る。「今、なぜイラク攻撃なのか、その正当性を国民に説明できない」。仏のドピルバン外相は、「フランスは戦争と占領と蛮行を体験した古い国。だからこそ理想と良心の守護者でありたい」と、平和的解決を訴える。ひるがえって、我が日本はどうか。市民として、個人として自分の考えをきちんと表明すること。政治家は指導者として説明責任を果たすこと。いま、この大切さが大きく問われている。日本はどこへ向かおうとしているのか。
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