北斗七星

北斗七星 2003年3月3日付 Vol.980

2003/03/03 15:38

週刊BCN 2003年03月03日vol.980掲載

▼NECと日立製作所が折半出資するDRAM製造合弁、エルピーダメモリが、米インテルから資金支援を受ける方向で最終調整に入った。米ガートナーグループによると、エルピーダの世界シェアは2002年で6・4%。蕫規模の論理﨟が収益を左右するDRAMビジネスだけに、早期にシェアを回復し、量産による価格競争力向上が同社の至上課題。それには最新鋭設備の導入が必要だが、NECも日立も資金的な余裕はない。エルピーダとすれば、ここは何としてもインテルの支援を引き出したいところだろう。

▼全盛期の80年代、日本のDRAM産業は世界シェアの8割余りを牛耳り、86年にはインテルもDRAM市場から撤退を余儀なくされた。それも今は昔。すでに東芝、富士通はDRAMから撤退し、三菱電機も今月に同事業をエルピーダに移管する方針。現在市場は、約3割の世界シェアを握る韓国サムスン電子、約2割の米マイクロン・テクノロジーによる2強時代。ここに、国内唯一のエルピーダが割って入れるか。今が正念場だ。

▼「DRAMは海外勢に任せておいて、日本はシステムLSIに特化すればよい」。そんな業界関係者の声もある。だが、DRAMはパソコンやサーバーはもちろん、今後需要拡大が見込まれるデジタル家電でも重要なデバイス。この部分で日本が価格コントロール力を失うことは、エレクトロニクス産業の衰退にもつながりかねない。蕫日の丸DRAM﨟、エルピーダの踏ん張りに期待したい。
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