旅の蜃気楼

世の中が動き始めた

2003/06/30 15:38

週刊BCN 2003年06月30日vol.996掲載

▼新しい時代の建設に向けて、世の中が動き始めている。久しぶりに、そう感じる。「NY 9.11」のショック以来ではないか。IT業界関連の国内動向を追ってみる。「政府はわが国の電子政府化を2005年度末までに完全実施する方針を固めた」。16日朝、日本経済新聞朝刊(写真)を見て、「こんなに言い切って大丈夫かな」との印象を覚えた読者は多いであろう。かつ、「ほー、よくぞ、言い切った」とも感じた。「業務システム見直しでは特定のソフトしか利用できず運営経費が割高なレガシーシステムを刷新する」とも言い切る。「そうだ、そうだ」と賛同のエールを送りたい。

▼身の回りを見てみよう。04年4月から、ICカードの運転免許証が交付される。ICタグの採用が本格的になってきた。いずれお札に刷り込まれるであろう。直近では住基ネットのICカードの交付本番が2か月先の8月25日から始まる。個人情報保護法は5月23日に成立した。個人情報のデジタル化の環境が整ってきた。テレビ放送も変わる。11年、デジタル放送への完全移行を目指して、今年末までに関東、中京、近畿の三大広域圏で地上デジタル放送を開始する。アナログからデジタルへのビット情報文化への移行が着々と進展している。

▼デジタル文化はインターネット文化だ。先進国のホテルではパソコンでeメールがあたりまえ。新幹線のなかでも使える(不満はあるが…)。飛行機の中のブロードバンド化も進んでいる。車のなかでもインターネットが使える。もちろん、携帯電話とインターネットは相互乗り入れしている。最近の大学では図書館の利用数が減っている。学生はインターネットで必要書籍を検索しているからだ。小説を読むには、BCNの視点コラムニストの富田倫生氏が世話役をやっている「青空文庫」にいけば、芥川龍之介の「或阿呆の一生」が無料でいつでも読める。その一方で、インターネット交流による集団自殺もある。インターネット社会が身近になってきている。24日、セイコーエプソンが東証一部に上場した。初値3690円。すばらしい。この調子だ。社会は私たちが作っている。

(本郷発・笠間 直)
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