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“ハッカー甲子園”中止の怪

2003/09/01 15:27

週刊BCN 2003年09月01日vol.1004掲載

 卓越した情報セキュリティ技術を持つ高校生や専門学校生を発掘する目的で、経済産業省が8月11、12の両日に開く予定だった「セキュリティ甲子園」が、開催直前に中止になった。「腕前を悪用され、不正行為を助長する」、「それは“ハッカー甲子園”だろ」と、学校関係者らの抗議が相次いだためだ。

 同イベントには予想を上回る全国86校から応募があったものの、同省は「趣旨が誤解されたままでは、参加生徒らが後ろ指をさされる」と断念。ルールを変更して来年度は開催したいとしている。

 同省が発表したルール説明によれば、3人以下のチームが「防御」と「攻撃」に分かれ、プログラムの弱点に侵入したり、防いだりする。だが、「防御」はまだしも、「攻撃」の言葉に教師達は強烈な危機感を持ったという。

 ある高校で情報教育を担当する教師は、「最近は、ただでさえ教師より生徒の方がパソコンの扱いに慣れている。成績表などが入ったパソコンをハッキングでもされたら大変」と、むしろ、教師以上に生徒のIT知識が伸びることを危惧していているのだから面白い。

 くしくも、教師側のIT知識の“脆弱性”を露呈してしまったようだ。次回は「名称はそのままで、内容をプログラムの開発コンテストに変更する」(同省)そうで、教師の危機感は尚も続く。
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