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越後には「戦術」が似合う!?

2003/11/10 15:27

週刊BCN 2003年11月10日vol.1014掲載

 政府のe-Japan構想を検討したのが「IT戦略本部」という名称だったためか、自治体のIT化構想も「IT戦略」や「情報化戦略」という名称のオンパレードだ。方針を示すためには、ストラテジー(戦略)という単語がしっくりくるのかもしれない。

 「戦略」ばやりのなかで、新潟県上越市のIT施策はちょっと変わっていて、「上越市IT戦術」という。「戦術」を使った理由について、上越市の折橋修・情報政策課長は、「戦略という大きな方針ではなくて、もっと市民の役に立つ情報化という点を強調したつもり」なのだという。大括りの戦略よりも、実行すべきタクティクス(戦術)を重視したということだ。

 上越市には、戦国時代の武将、上杉謙信の居城であった春日山城址がある。「常在戦場」など上杉謙信独特の軍律で知られ、群雄割拠の戦国武将の中でも智将として名高い。

 そんな文化があるせいか、「戦術」という言葉の選択にも、何か訳ありな雰囲気が漂う。堺屋太一氏や梶原拓・岐阜県知事の呼びかけで始まった「全国自治体善政競争・平成の関が原合戦」になぞらえて、上杉謙信ばりの独特な「戦術」も、画一化しつつある自治体情報化のなかで異彩を放つことになるか。どこかに「智将」はいないものだろうか。
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