北斗七星

北斗七星 2004年1月12日付 Vol.1022

2004/01/12 15:38

週刊BCN 2004年01月12日vol.1022掲載

▼1度過ちを犯すと、焦るあまり再び同じ過ちを犯すものなのか。電子情報技術産業協会(JEITA)の賀詞交歓会で、記者団に囲まれた東芝の岡村正社長は、「長期計画に基づき行動すればいいという、甘っちょろい考えだった」と、パソコン事業不振の原因を語っていた。細かい軌道修正だけで事を済まし、小さい失敗の連続が今の現状を招いたというのだ。

▼先進的な技術を競うIT業界では、「スピードと決断力」の欠如により、一気に奈落の底へ落とされる。昨年7月の新社長就任会見で富士通の黒川博昭社長は、「顧客のニーズに応えるべきスピードを失っていた」と、業績不振に陥った自らの非を認め、上層部の判断が迅速に伝わる大幅な組織改定を断行した。

▼一昨年まで全盛を極めていたソニーの出井伸之会長兼CEOは、米経済誌に「2003年のワースト経営者」という、ありがたくない蕫称号﨟をもらった。出井会長は、「ソニーの底力はこんなもんじゃない。必要な手は打っている」と、組織体制に触れた見解を発信したが、業績や新機軸で成果が見えないだけに、「強がりだ」と思われても仕方ない。

▼本紙の新春特集では、多数のシステムインテグレータ社長が、抱負を語っている。この「スピードと決断力」は今年の共通テーマであると感じた。あと1つ挙げると、「コア事業への集約」だろうか。既存事業を畳むにも、将来を見通す洞察力と決断力が求められているのは言うまでもない。
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