Letters from the World

ブーミングするインド経済

2004/01/26 15:37

週刊BCN 2004年01月26日vol.1024掲載

 1年でインドの市場にでた新車の車種数が倍になった。ホンダ、シボレー、現代、タタ、フォード…。10年前は、合弁企業のマルチ、純国産メーカーのアンバサダー(英国モーリスの1950年代モデルの技術移転の車)、プレミア(フィアットの技術移転)と3種類しかなく、20年前はプレミアでさえ納車が7年かかった。これからはすべて遠い昔の話になってしまった。04年1-3月の予想インフレ率は6.09%。03年5月から12月にかけてのボンベイの株式指標であるSESEXは2倍に跳ね上がった。03年7-9月の経済成長率は8%をクリアする見込み。03年12月には、外貨準備高が1000億ドルを突破した。

 大都市での中産階級の購買力は増える一方で、新しいブランドがこれでもかというぐらいに増えている。大型量販店には、堂々と外国のワインやウイスキーが並んでいる(いままでは、インドでは酒類はリカーショップでこっそりと買うものだった)。米国系を中心としたマルチレベルネットワーク販売の会社がどんどん上陸している。新聞には豪華なマンションの分譲販売と高級自動車の広告がひときわ目を引く。04年からはパソコンの輸入税率は16%から一挙にゼロに。パソコンの普及に弾みがつくであろう。

 私が初めてインドを訪れた25年前は、関税や消費税などを合わせると輸入品は300%程度になるのが普通であった。当時の高級カメラ、ニコンFをインドで売ると飛行機代が浮く計算になったものだ。政府もハード産業の育成よりもソフトウェア産業など知識産業で立国していく方針である。このような状況下で、いまだに変わっていないのが、街中を闊歩する牛と、30年間モデルチェンジのない乗用車アンバサダーである。この時代錯誤のクラシックカーの存在と、宗教が何ものにもまして優先されるこの現実を見ていると、絶対に変わらないインドがまだここにあるのだと確信できる。(インド・バンガロール発:アコードインターナショナル 原 真)
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