IT業界ここがポイント

<IT業界ここがポイント>2.IP電話

2004/04/12 15:27

週刊BCN 2004年04月12日vol.1035掲載

総務省は、昨秋、NTT東西から申請があったIP電話サービスの業務開始を認可した。

 固定電話事業が低迷するなか、昨年からNTTコミュニケーションズはIP電話サービスを本格的に展開していたが、NTT東西の参入はさらにNTTグループにおけるIP電話への取組みに拍車をかけた格好だ。昨年、矢野経済研究所はIP電話サービスについて調査。個人向けの2002年末308万回線が07年末には最大2788万回線に、また法人向けの02年末1万100法人が07年末には2万1550法人になるとそれぞれ予測した。

 IP電話は、IP電話機をいま利用中のADSLや光ファイバーなどブロードバンド・インターネットに接続すれば、VoIPという技術で音声をIPパケットに変換して通話できるというものだ。このとき音声を伝送するためのパイプづくりに利用される代表的なプロトコルが、最近よく耳にするSIPなどである。

 IP電話は「なんといっても通信コスト削減が魅力」と、すでに導入したユーザーはいう。本支店間の通話は無料、社外向け固定電話も全国一律3分8円で年間数億円の削減が見込める、という例もある。IPネットワーク利用だから、従来の専用PBX(構内交換機)と音声回線は不要で、例えば既設LANにI-PBXやソフトスイッチなどサーバーに相当するものを接続すれば、そこにデータと音声を一緒に流すことができる。したがって、機器コストや管理コストも節約できる。IP電話機も当初は10万円以上していたが、最近では1万円以下のものまで登場している。

 いま、冒頭の調査結果のように着実な浸透ぶりをみせるIP電話だが、全体に占める割合はまだ決して高いとはいえない。しばらくは固定電話との共存が続きそうだ。
  • 1