IT業界ここがポイント

<IT業界ここがポイント>5.Linux

2004/05/03 15:27

週刊BCN 2004年05月03日vol.1038掲載

オープンソースソフトウェアの普及拡大を目指して日本、中国、韓国の官民による活動が本格化。(BCN2003年11月24日号)

 Linuxは、もともとフィンランドのリーナス・トーバルズ氏が、オープンソースソフトウェア(OSS)としてインターネット上に公開したことから一気に業界およびユーザーの注目を集めた。オープンソースソフトウェアは、誰もが自由に閲覧したり、変更あるいは再発行ができることは周知のとおりだ。その後、コンピュータだけではなく、デジタル関連機器などのOSとしても、Linux利用に拍車がかかっていった。

 日本におけるLinux市場をみても、その成長率は20%強、OSそのものに占めるシェアも10%に迫る勢い、といわれている。たとえば、Linuxサーバーは急速に普及、先ごろ米ヒューレット・パッカード(HP)は売り上げが7500万ドルに達したという。この波はサーバーにとどまらず、これからデスクトップにまで及ぼうとしている。また、米IBMはTCO(システム総保有コスト)削減のためにLinux対応メインフレームを投入した。このほか、Linuxはストレージやサービス、データベース分野などへも着実に浸透しつつある。

 一方、LinuxなどOSS普及の話題として、日・中・韓共同による標準化などの取り組みが注目された。これら3国の政府をはじめ公共部門、企業などによるOSS採用の気運が高まると、これまでの欧米中心ではない東アジアによる世界のリードが期待される。

 こうなると、OSの中心的存在であるマイクロソフトを揺るがすことも考えられる。事実、e-Japan計画でOSSが検討課題にされると、急遽ビル・ゲイツ会長が来日、政府関係者などと面会してまわったことはニュースになった。それにしても、先のSCO訴訟問題も含めて、昔からIT普及には、必ずといっていいほど業界の葛藤がつきまとうものだ。
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