IT業界ここがポイント

<IT業界ここがポイント>10.個人情報漏えい

2004/06/14 15:27

週刊BCN 2004年06月14日vol.1043掲載

ヤフーBBの事件は対岸の火事? 顧客情報流出に厳しい社会の目(BCN2004年3月8日号)

 かつて、人材派遣業で多くの登録者名簿が流出したことがあった。このとき当該業者は、対象の登録者たちを訪ね謝罪してまわったという。いま、大量の契約者情報が流出したインターネット接続サービス「ヤフーBB」をはじめ、消費者金融、コンビニエンスストア、鉄道、カード、醸造、石油など多くの企業で個人情報漏えいが起こっている。加えて警察の捜査書類まで流出した。流出した個人情報の人数は、数人程度のものもあったが、多くが数千人から数百万人にまで及ぶ。

 昨今の個人情報漏えい問題を考えるきっかけになったのは、やはり住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)だろうか。住基ネットは2002年1次稼働、そして昨年8月に2次稼働を開始した。このとき個人情報漏えいが懸念され、いくつかの自治体が住基ネットへの参加を拒否している。その後、個人情報保護法が通常国会で成立したのを機に、改めて参加した自治体もあった。この法律は、民間事業者に対して、個人情報の収集利用制限と個人情報データ保護のための適正管理義務を法制化したものだ。これにより、特に5000人を超える個人情報を取り扱う事業者は、法律で規定される保護対策を実施しなければならなくなる。施行は2005年4月1日からだ。

 そして、さらに追い打ちをかけるように、先日、裁判所事務官採用試験に関する合格者2000人以上の受験番号や生花通信販売に関する1000人以上の利用者に関する情報も流出した。原因はホームページで公表する際の作業ミスや、情報が入ったフロッピーディスクの紛失であったりしたという。実は、個人情報漏えいはこのように管理上のミスに起因することが多く、いま改めて、そのあり方など早急な対策が求められているところだ。
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