Letters from the World

台湾EMS企業

2004/06/21 15:37

週刊BCN 2004年06月21日vol.1044掲載

「Foxconn」ブランドで有名な「Hon Hai Precision Group」は、台湾では「鴻海集団」、中国では「富士康集団」と呼ばれる電子業界のコングロマリットである。

 その連結決算は、グループの売り上げが381億米ドルで、利益が45億米ドルである(2001年決算)。主な売り上げはコネクターやICソケットを中心とした機構部品の製造販売が全体の17%程度で、これがすなわち自社製といえる。その他は、基板モジュールや、機構モジュールとアセンブリーである。

 この部分がEMS(電子機器の生産受託サービス)事業となっているわけで、おもな顧客はIBM、アップルコンピュータ、ソニー、デルなどIT産業をリードする企業群である。

 この企業は典型的な台湾のパソコン業界の縁の下の力持ちといえる。もう1つの縁の下の力持ちのTSCMに代表される、ICファウンダリー産業とともに、台湾のパソコン産業を陰で支えつつ、自らも成長してきた業界である。

 以前は、AMPやMolexといった米国系のコネクターやソケットがパソコンのメインボードやハーネスで多用されていたのが、いつの間にか、Foxconnをはじめとした台湾メーカーに取って代わられたわけである。

 台湾のメーカーでは、エイサー、マイタック、アサステック、ギガバイトなどのメーカーのほうが表舞台に立っているのでブランド力もあるが、いまや、FoxconnやTSMCのほうが財務体質では上をいっている。

 香港から洗練された深 市内を通り越して、約1時間半で龍華地区にたどり着く。多少埃っぽいが、典型的な中国の地方都市といった感じである。そこの工業地区を独り占めしているのがFoxconnグループの巨大な中国工場群である。Foxconnの中国での全従業員は10万近くになるそうである。

 なお、他の台湾企業の中国工場に比べ台湾人も圧倒的に多く、全部で2000人近くも台湾から駐在しているとのこと。グループの輸出額は01年には中国企業全体で第2位に到達した。(中国・深セン発:アコードインターナショナル 原 真)
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