いよいよこの連載も最終回。読者の皆さんのワインライフのお手伝いができれば、と手探りでテーマを探してきたが、ワインの基本である品種にふれていなかったことに気づいた。というのも、昨夜友人Aさんから、彼女が仲間のBさんとワインを飲んだときの話を聞いたから。

 Aさん「シャブリ飲まない?」Bさん「ごめん。私は白はシャルドネしか飲まないの」

 Aさんは、シャブリとシャルドネが同じもののような気はしたが、はっきりとは反論できなかったというのだ。そう、シャブリはフランスのワイン産地の名前、シャルドネは葡萄品種の名前で、シャブリは100%シャルドネでできている。

 アメリカなどニューワールドのワインが、産地名とともに品種名をラベルに表示するヴァラエタル(品種)ワインが多いのに対し、フランスなどオールドワールドのワインのラベルからは品種名がわかりづらいので、Aさんたちの混乱もムリない。ちなみにボジョレーも産地名だ。

 そして、そんなAさんたちも名前を知っているほどに、シャルドネは有名な品種ともいえるだろう。病害などに強いため、世界で最も広く栽培されている白品種で、フランスのブルゴーニュをはじめ、カリフォルニア、オーストラリア、南アフリカ、最近では日本でも造られている。柑橘系の香りのもの、リンゴのような香りのもの、シャブリのように火打ち石の香りのものと、多用なタイプがある。

 赤品種で、シャルドネに相当するのはカベルネ・ソーヴィニヨンだ。こちらも世界中のあちこちで造られており、ボルドーのグランヴァンから、チリカベなどの日常消費用ワインまで、さまざまなタイプがある。

 しかしここのところ、あまりのシャルドネ&カベルネ・ソーヴィニヨン人気に「ABC(Anything but Chardonnay&Cabernet Sauvignon)」といって、シャルドネ&カベルネ以外の品種を求めるワイン通も増えているのもおもしろい現象だ。

 これに対し、産地や気候を選ぶデリケートな品種といえば、リースリング(白)とピノ・ノワール(赤)だろうか。私の最も愛する品種である。リースリングは、オーストリア、ドイツ、アルザス、最近ではオーストラリアにもよい造り手が多い。

 ピノ・ノワールはロマネ・コンティに代表されるブルゴーニュが有名だが、最近私が好んで飲んでいるのがワシントン州のもの。冷涼な気候のせいか、非常にエレガント。ワイナリーの規模も小さく、ボトルの中に産地の個性や造り手の人柄が現れたようなワインが多い。