旅-経営者の目線-

<旅-経営者の目線->88.秋の陸中海岸-(2)浄土ヶ浜・気仙沼

2004/12/20 15:27

週刊BCN 2004年12月20日vol.1069掲載

 美しい景観が続く陸中海岸は津波に弱く、度々大きな被害を受けてきた。そのために人家に近い入江には全て頑丈な防潮壁が造られていた。

 宮古市の浄土ヶ浜は陸中海岸有数の景勝地で、緑の松を頭上に乗せた白い岩の塊が整然と一列に並んでいた。風が強くその岩の間から荒波が高々と潮を白く吹き上げる光景は圧巻であった。宮古湾は明治2年(1869年)3月25日、官軍と幕府軍の軍艦が初めて洋式海戦を行ったところである。

 山田湾の牡蠣や帆立の養殖棚を左に見て、古くからの鉄の町釜石市に入った。ここは南部藩の南端だったところで、現在は海洋開発に取り組んでおり、蝶鮫の養殖に成功している。その南、大船渡市は平均気温12度と温かく、北限の竹の林を見ることができた。碁石海岸の穴通磯は海食によって穴を3つあけられた小島があり、その辺り一帯の眺望が素晴らしい。陸前高田には4万本もの見事な高田松原が残っている。

 宮城県気仙沼は三陸有数の漁港で秋刀魚漁やフカヒレの特産地として知られている。津山町で初めて、枝分かれした北上川の本流に出会った。潮の逆流を防ぐ北上大堰は長さ35.2メートルもあり、川の長さも全国5番目の大河で、古くから流域一帯の生活と文化を支えてきた。

 女川港は風と波が荒く、今日の最終船だという観光船に乗って金華山に向かった。11年前に対岸の男鹿半島から眺めた金華山に、今回は上陸することができた。黄金山神社に一同参内参拝し、再び乗船。鮎川港に着いた。

 陸中海岸の旅は予想していた以上に変化に富んだ長大な海岸美に驚いた。鮑や牡蠣、帆立やフカヒレなど海の幸の宝庫で、その上松茸や前沢牛もあり、美食家には堪らない。今回は盛りだくさんの急ぎ旅だったので、見残したところも多く、他日ゆっくりと再訪することを期して帰ってきた。
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