Letters from the World

フィッシング詐欺

2004/12/20 15:37

週刊BCN 2004年12月20日vol.1069掲載

 日本では、先の経済財政諮問会議の内閣審議でフィッシング詐欺が取り上げられた。竹中平蔵内閣府特命担当大臣自らがフィッシング詐欺についての見解を表明し、翌日以降多くのメディアがこの問題について取り上げ、ようやく日本でもその名前が一般に知られるようになった。

 一方米国でのフィッシング詐欺の被害は留まるところをしらず、大きな社会問題になっている。日本での動きはいささか緩慢とはいえ、非常に有意義なことである。

 日本政府は今年の7月に簡単な注意勧告を行ったが、今回はこの犯罪が米国内で猛威を振るっていることを踏まえての、より真剣な取り組みであるようだ。

 今回の内閣審議会の資料作成には、私の会社も一部関わっている。それが今回の「フィッシング・メール対策連絡会議」設立に結びついたということで、私たちの業務が日本政府にとって何らかの役に立ったのならこれほど嬉しいことはない。

 しかし経済財政諮問会議にどれほどの意味があるのかは疑問だ。注意はもちろん必要だ。しかし何より重要なのは、適切な時期にそれを行うことなのである。特にインターネットを利用した犯罪はその動きが非常に早く、対策をしている間に次の手法が発生してくる。特にフィッシング詐欺は今まさに旬であり、日々新しく巧妙な手法が次々と現れ、米国でさえ対策に大わらわの状況だ。

 実際アメリカでは初期に多く見られた単純なメールによるものから、スクリプトを利用した高度なものに移行しつつあり、対策には専門的な知識が必要となっている。

 このようななか、「関係団体や金融機関などと共に、関係他省庁と連絡を取り合って」ではいささか心許ない。今回の動きはもちろん非常に好ましいものだ。だからこそ、現実に則し、犯罪者を撲滅できるような活動を求めたい。フィッシング先進国とも言えるアメリカには、数多くの優秀な専門家がいるし、具体的な対策も大いに参考となる。せっかくの機会をぜひとも有効に活用して欲しい。(米ニューヨーク発:ジャーナリスト 田中秀憲)
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