新しい年を迎えますます期待に胸が膨らむIT業界だが、その一方で、今年が自社の終焉を迎える年となるのではないかと危惧する経営者も多いかもしれない。新しい技術が普及し低価格化が進めば、かつての流行は一気に廃れ消え去ってしまうのはIT業界の習わしでもあるからだ。

 今年一気に淘汰されそうなのはPDA(携帯情報端末)市場だ。パームの爆発的なヒットは既に過去の話。ここ数年は携帯電話機が高機能化と低価格化を一気に加速し、現在では事実上市場を席巻している。

 米国調査会社IDCによると、2004年のPDAの出荷台数は年間で940万台ほどと予測、これに対しPDA機能を併せ持つ携帯電話、いわゆる「スマートフォン」の出荷台数は1770万台。4年後の08年には9400万台に達するともいい、もはやPDAは敵ではなくなった。

 しかも数年前には大きく価格差のあった二者だが、台数がさばける携帯電話機は急速に低価格化を実現。現在ではPDAと遜色のない価格帯にまで下がってきている。

 当初スマートフォンはパームOSなどのPDA用OSを搭載し、事実上「携帯電話機能を持つPDA」だった。しかし現在市場に流通しているのは、独自OSを搭載した携帯電話機専門メーカーの製品が大半だ。各メーカーは独自OSを利用することによって一般のユーザーの要望に対応しやすくなったとコメント。往来のPDAユーザーとは違う一般向けの製品を送り出したことも、スマートフォンのヒットの要因である。

 携帯電話機でデジタルテレビ放送が受信可能な技術が発表されたことなども後押しとなり、今後は携帯電話機のより一層の高機能化や、他分野製品との融和が焦点となっていくだろう。多分このままPDAは消え去っていくものと思われるが、しかしiPod(アイポッド)のようにすぐに新しいITガジェットが出現し、新しい需要を喚起するだろう。次世代の携帯電話機がその地位に座る可能性も高いことは言うまでもない。(米ニューヨーク発:ジャーナリスト 田中秀憲)