▼新年、初詣の参拝者で賑わう全国の神社仏閣で相次いで偽札が発見された。お参りに偽札を用いるとは何ともバチあたりなことだが、なかには偽札と知らずに賽銭を投げ入れた人もいたかもしれない。それほど、最近の偽札は巧妙につくられているらしい。偽札の巧妙化とITの高度化はもちろん関連性が大きいだろう。昨年11月から発行が始まった新デザイン札はさまざまな偽造防止技術が盛り込まれているが、犯罪者側のやり口も高度化しており、今後もイタチごっこは続くのであろう。

▼紙幣の歴史は偽札との闘いでもある、といわれる。よって、犯罪者に対し技術で先行することが対症的な防御策となるが、それにも限界があり、やはりルール(法律)による歯止めが必要となる。刑法で通貨偽造、行使は無期または3年以上の懲役に処せられる重罪だ。だが、偽札のような古くからの犯罪に比べると、最近のデジタル社会を背景とした情報系の犯罪には、ルールによる歯止めが十分機能しているとは言い難い。

▼最近被害が急増している振り込め詐欺も、流出した個人情報が犯罪に利用されているケースがあると聞く。こうした犯罪は10年前なら今ほど被害は出なかったであろう。この4月には個人情報保護法が施行され歯止めの一助になると期待されるが、ただし、個人情報保護法を巡っては、その審議の過程で「行政府による個人情報の乱用」と的外れな議論が展開されたことも記憶に新しい。デジタル社会のルールづくりは冷静さを欠いてはならない。