琵琶湖の湖西地区にはまだ知られていない魅力的な景観地が多数ある。西に標高1000メートル級の比良の山々が迫っており、棚田や溜地、雑木林などが散在する里山風景が残っている。今回は写真家の今森光彦氏の案内で観て回った。

 仰木の千枚田。湖西にいくつかある棚田の1つで堅田に近い。比叡山を水源に琵琶湖に流れ込む天神川と雄琴川に沿って大規模な棚田が拡がっている。雄琴川沿いは農地整備事業で、農機具が入りやすい農地になり、美観が失われてきた。天神川沿いに仰木で一番美しいといわれる馬蹄形の棚田があると聞き、そこを目指した。予想以上の美しさに感嘆。場合によってはその保存に一役買おうかとも考えていたが、農地所有者が100人もいると聞き、意見の集約が難しそうだと思った。その棚田の上の密生したヤブ山で、コナラやクヌギを残して間伐と植樹を進め、水源地となる雑木林の復活再生に向けて学生たちが組織的に挑戦していると聞きうれしくなった。

 近江舞子。夏場は湖水浴客で賑わうが、普段はひっそりとしていて駅前に売店もない。比良連峰を背景に山紫水明、白砂青松の浜が約4キロ続き、対岸は入り組んだ景観が拡がる。琵琶湖周航の歌にある雄松が里はここで、我が社のホテルがある。赤い椿に囲まれて湖岸にその歌碑が建っている。

 かばた(川端)。高島郡新旭町の“かばた集落”は、豊富な湧き水が出る珍しいところで、各戸がそれぞれ澄んだ湧き水を家の内外に引いて生活用水として使っている。湧き水が集まって川となり、琵琶湖に流れ込んでいる。水草が豊富で透き通った川に魚が気持ちよさそうに泳いでいた。ここは単なる水郷地方ではない全くの別世界であった。