Letters from the World

多品種・小ロット

2005/01/24 15:37

週刊BCN 2005年01月24日vol.1073掲載

 インターネットの普及で商品情報が多くエンドユーザーの手元に届くようになった。そんななかで、ユーザーの欲するモノがますます多角化している。これは、店舗側にしてみれば多品種でしかも個々の製品は小ロットしか売れないという方程式が成り立つ。

 インターネット時代に多くの顧客を集め、売り上げを伸ばし有名になる会社は確かに取扱商品が多い。しかし、本当にこれだけがインターネットビジネスの攻略方なのだろうか。いくつかのシナリオを考えてみよう。

 例えばゴルフクラブ。多品種とは多くのメーカーの商品を扱っていることを意味する。しかし、キャロウェイのクラブが好きだといった場合、どこのメーカーの商品も売っている店で買うより、キャロウェイ専門店で買いたいと思うのではないか。確かに、価格が安い方で買うという消費者の心理もあるだろうが、専門店でショッピングをしたいと考えるのはおかしなことではない。

 パソコンの場合はどうだろう。アップルコンピュータが好きな人ならアップルストアで買うだろう。これは価格ではない判断だ。

 価格面で違いがなければ、量販店ではなく、専門店で買いたいと考えるのは当たり前のこと。その考えを突きつめると、「多品種・小ロット」と叫んでいるのはマスコミだけで、実は価格だけの話ではないのか。誰も多くの機種を探しているわけではない。どんなモノにしてもだいたい売れ筋がある。その売れ筋がどれだけ安く売れるか、これがカギなのだ。

 また、価格の安い量販店と同じモノを扱っていては資本力の小さいショップが勝てるわけがない。違いは、知識。要するにサービスの違いが、量販店との勝負なのだ。

 「多品種・小ロット」などと難しいことは考える必要はない。価格で勝負できないなら、サービスで勝負するしかない。安いモノを求める顧客を追い続けることにはビジネスとしての価値がないということを理解する必要がある。(米シアトル発:パシフィックソフトウェア パブリッシング 内倉憲一)
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