Letters from the World

徹底した中国の情報管制

2005/01/31 15:37

週刊BCN 2005年01月31日vol.1074掲載

 中国の情報管制はいまだに厳しいものがある。つい最近では、趙紫陽元中国共産党総書記の死去のニュースが報道規制の対象となり、一般の中国人はその事実を知ることができないでいる。死去のニュースに対して事実無根のデマであるというニュースを逆に流したりもする。

 中国で外国人の泊まるホテルにはケーブルテレビ局を通じて、NHKやCNNなど海外の衛星放送が配信されているが、その死去のニュースに対してはマスキングされ、黒いスクリーンが流れるだけの異様な放送となる。

 インターネットもしかり。大勢のモニタリング要員が常に膨大な数のホームページをチェックしており、政府が好ましくないと思うサイトにはブロック措置を施す。

 台湾の主なニュースサイトは多くの場合ブロックされ、台湾の台風のニュースでさえ、中国では簡単に見ることができないということになる。

 このような結果、一般の中国人の常識は知らない間に世界の常識からかけ離れる。ダライラマがノーベル平和賞を受賞したことを、大多数の中国人はいまだに知らないでいる。

 最近は、中国の法律的には違法とは言えない海外のインターネット電話サービスの要となる、SIPプロキシサーバーのIPアドレスがブロックされた。その結果、今まで問題なく使えていた米国などのメジャーなインターネット電話のサービスが今年になってから相次いで利用不可能になった。

 日本などでは、このような場合は大問題となり、ニュースでも大々的に取り上げられるのが常であるが、中国の人民はこのような時でも実に寛大であり、“お上”の決定を素直に受け入れる。

 こういった状況が改善されれば、海外の投資もより活発になり、名実共に中国が先進国の仲間入りをすることになると思われる。

 小生も、あまり目立ちすぎると、中国への入国を拒否される恐れがないとはいえないので、あまり過激な発言は控えることにしたい。(深セン発:アコードインターナショナル 原 真)
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