Letters from the World

カード詐欺

2005/02/14 15:37

週刊BCN 2005年02月14日vol.1076掲載

 デビットカードのデータを盗んでカードを偽造した中国人と日本人が逮捕された。被害者の話では、ある日銀行に行ったら残高がゼロになっていたという。銀行側は、暗証番号が合っているという理由で被害額の返金はしないという。このような事件が4月1日に施行される個人情報保護法にもつながっているのだ。

 私は日本の金融はおかしいと言い続けている。まずクレジットカードだが、日本の場合はデビットカードと同じ。要するに銀行にある残高分しか使うことができない。これはクレジットではない。

 また、クレジットカードを受けるためのマーチャントアカウントが高すぎる。残高のある口座から支払われるのであれば、銀行へのリスクはない。それなのに5%、7%といった手数料をマーチャントにチャージする。

 次に、違法に使われたカードでもすぐに返金をしない。これも銀行がリスクを消費者に補填している。

 話をデビットカードに戻そう。米国では銀行を装ったスパムメールを送って、口座情報(暗証番号を含めて)を盗むケースが最近目立っている。私の友人が勤務しているワシントン相互銀行(WAMU)でもこれによる被害が出ているという。このためにWAMUでは、詐欺の危機性があるスパムメールを収集・調査するための転送用メールアドレスを公開している。

 そこで、もしこのような詐欺で情報を与えてしまって口座からお金が引き落とされたらどうなるのか聞いてみた。ここが日本と違うところだ。「WAMUでは、お客様のミスで公開した情報でも、お客様の意志と反したトランザクションがお客様以外が行った場合は、すべて銀行が補填します」。

 誰かがあなたのデビットカードを使ってお金を引き落としても、全額銀行が保証するのである。これが本当の顧客サービスだ。そして悪人を捕まえるのは銀行の責任で個人の責任ではない。

 私のお金はアメリカの銀行に預けておきたいと思う。(米シアトル発:パシフィックソフトウェアパブリッシング 内倉憲一)
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