▼かつての日本では珍しくM&A(企業の合併・買収)などにも積極的で、ユニークな経営者がいた。新製品発表の席上、「この製品はね、違法じゃなく無法。法に反する商売はいけないが、法のない部分で勝負することが新しいチャンスをもたらす」と、ニヤッと笑った。憎めないキャラクターだったが、多角化に失敗し、銀行に経営権を奪われた。

▼ライブドアとフジサンケイグループによる買収合戦は、互いに「違法とは言えぬ無法の領域」で、次の一手を仕掛け合っている。法が整備されていないので仕方ないが、「ポイズンピル」や「クラウン・ジュエル」など聞き慣れぬ言葉が飛び交い、一面では「新しいチャンス」の到来を告げている。この紛争に対する識者や企業人の意見が分かれるのも、その証左。「マネジメント」のレベルでは、着実に新たな流れが浸透している。

▼一方、「マネジメント」に対する「商売」のレベルでは、旧来の日本的な部分が根強いようだ。規制撤廃で「黒船」と恐れられた小売り大手の仏・カルフールが日本から撤退を決めた。安くても、品揃えが不十分だったことが日本での敗因とされる。新しい商売のスタイルは、日本の消費者に受け入れられなかった。マネジメントレベルと商売レベルでは、「新しいチャンス」に対する理解度や許容度にギャップがあるらしい。このギャップを把握しないことには、マネジメントで成功しても、商売で失敗しかねない。係争中のライブドアとフジサンケイグループグループにも、当然、当てはまる。