Letters from the World

中国のE-ポリス

2005/04/04 15:37

週刊BCN 2005年04月04日vol.1083掲載

 中国の警察は人民武装警察と公安部に大別される。武装警察は国務院に所属する軍組織で、重要施設の警備やテロ対策などが主な任務となっている。

 それに対して、公安部はその下に各行政単位に対応した公安局をおいており、各地の刑事交通などの他、消防も含まれる。

 日本と異なるのは、戸籍管理や外国人の住居登録などは公安局の任務に含まれる点だ。日本の市役所や町役場の機能を持つわけだが、これは人民の自由な移動をコントロールするための1つの策でもある。

 最近の政府のIT化にならい、中国の公安局も地方政府や市単位で大幅な改革を進めている。

 110番や119番通話に対する、地理情報システム、緊急車両の位置情報管理、交通の要所に設置した監視カメラのデジタル化、そして、ウェブベースでの事件捜査の進捗問い合わせシステムなど、人民に貢献しているともいえる。

 一部の大都市の公安局の緊急指令ルームは、まるで米航空宇宙局(NASA)のスペースセンターのようだ。大きなスクリーンを並べ、地図や遠隔地の映像を常時映し出している。

 近い将来は、必要に応じて分局単位や移動中の緊急車両でも、同じスクリーンの情報を共有することも考えているようだ。

 このようなシステムを整備・維持していくためには、莫大な資金が必要となる。もちろん、そのための投資を行うためには、いろいろなスキームがある。警察の組織の下に、名目上は民間組織の保安公司というものがあり、日本でいう、警備保障ビジネスを堂々と行うことができるのだ。

 例えば、銀行や商業施設の警備、現金輸送業務、タクシーの緊急連絡網の構築など。

 この組織、マネジメントチームは警察官が出向で配備されているわけだが、営利を追求できるわけである。

 先に述べた先進的なシステムなどもこれらの保安公司が公安局におさめる形になっている。中国ならではのビジネスモデルである。(中国・深セン発:アコードインターナショナル 原 真)
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