北斗七星

北斗七星 2005年6月13日付 Vol.1092

2005/06/13 15:38

週刊BCN 2005年06月13日vol.1092掲載

▼ペットボトルを普段から持ち歩くようになったのは、いつの頃からだったろうか。喉が渇けば一口ぐびりと、もう生活の中にすっかりとけ込んでいる。ペットボトルの中身はジュースやコーラといった甘味系でなく、緑茶である場合が圧倒的だ。「ジュースならともかく、20年前ならお茶を買って飲むことなど、駅弁を食べる時ぐらいだったが…」。いつの頃からお茶にお金をかけられるようになったかが気になり調べていくと、伊藤園に行き当たった。

▼「お~いお茶」で知られる同社が、世界で初めて缶入り緑茶飲料を発明したのが1985年。今年は、それからちょうど20年という節目にあたるそうだ。ならば同社の業績はと見ると、05年4月期の売上高が前期比10%増の2637億円、経常利益は同16%増の192億円と過去最高を計上している。売上高の実に51%、金額にして1346億円が日本茶のドリンク事業で占められている。現在「お~いお茶」は、全清涼飲料の中で3番目に多く飲まれるブランドとなった。

▼同社が緑茶飲料の開発に着手した1970年代は、日本の食生活が多様化し、伝統飲料である緑茶が斜陽産業とされ、日本人の〝緑茶離れ〟が懸念されていたという。そうしたなか、品質保持が難しいとされた缶入り緑茶製法を開発し、さらにペットボトル入り緑茶を可能にする独自製法を編み出し、緑茶を飲料ビジネスの領域にまで発展させた。斜陽化を克服する取り組みがなければ、日本人の嗜好も大分変わっていたかもしれない。
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