旅-経営者の目線-

<旅-経営者の目線->104.南オセアニアの旅-(7)シドニー

2005/06/20 15:27

週刊BCN 2005年06月20日vol.1093掲載

 2月3日8時50分(東京6時50分)気温17度、肌寒い。冷たい南風が強く吹き、大きな白波が立っていた。15時、右舷に見えるノースヘッドの断崖を回ってシドニー湾内に入り、16時接岸した。雲1つなく快晴、気温27度に上る。前日は暴風雨で、空港が一時閉鎖されたとか。1日違いの幸運である。

 上陸してチャイナタウンで食事をした後、世界3大夜景の1つ、シドニー湾の夜景を楽しんだ。ビル街の灯りが輝やき、ライトアップされたオペラハウスやハーバーブリッジが美しい。澄んだ夜空に南十字星がよく見えた。

 翌日は早朝から1日観光、海水浴客で賑わうボンダイビーチや、動物園、マッコーリー夫人の岬、オリンピック会場その他を回った。シドニーは人口400万の大都会で、私はこれが3回目だが、何回来ても、自然との調和を図ってきた美しい景観に感動する。住宅地に緑の多いのが目立ち、建物の色も調和がとれている。特に湾に面する傾斜地の住宅が階段状に重なる眺望は素晴しかった。

 これに較べて東京の住宅地は緑が少なく、ビル街も濫立が目立つなど、無秩序に発展してきた。東京・丸の内の三菱煉瓦街や柳並木の銀座通りをつくり、田園調布その他の高級住宅地を作ってきた戦前の都市構想に較べて、戦後の復興は余りにも計画性が足りず、都民の1人として恥ずかしかった。しかし最近復活再生に向けた動きが見られるようになり、喜んでいる。

 日没前の19時、ボーッという汽笛3声とともに、船が静かに岸壁を離れてゆっくり進んだ。湾内に浮ぶ100隻を超えるヨットの群れが一斉に手を振って別れを惜しんでくれ、これに応えて乗船客も一斉に手を振った。このシーンは船の別離だけが持つ独特の哀感があり、感動的で長く眼に焼きついた。
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