“大特価セール”と聞くとつい行列をつくって並んでしまったり我先に人を押しのけてしまうのはアジア人固有の特性ではない。米国人もやる時はやるし、やるとなったらやるもんだ。そう実感したのが今月起こったiBook騒動だ。

 現場はバージニア州リッチモンドにあるレース場のインターナショナル・レースウェイ。ここで16日、地元の自治体のヘンリコ郡が公立高校払い下げのiBook1000台を1台50ドルの放出価格で売りに出したところ、予想を遥かに上回る約5500人(警察推計)が詰めかけ、大混乱に陥った。

 4年落ちの中古とは言え、ノートパソコンが5000円強。この価格なら、並んでみようとの気持ちはよく分かる。告知が出るや遠くはカリフォルニア州、はては欧州からも役所に問い合わせが殺到。郡では急きょ地元住民のみ対象とすることに変更、場所も倉庫から国際レース場に移して混雑に備えた。

 当日、ゲート前には暇潰しの本とスナック、傘で完全武装した先頭集団が午前1時半から到着開始。道路は渋滞し、人の行列は全長半マイルに及んだ。これだけ長いと、うかうかトイレにも行けないのだろう。列の後ろに絶対回りたくない女性がとうとう並んだまま放尿し、現場の周辺は日の出前から不穏な空気に包まれた。

 7時開門。2人がやっと通れるくらいの狭いゲートから群集がどっとなだれ込み、売り場めがけて猛ダッシュ。何人かが倒れて群集の下敷きとなり、応援に駆けつけた警官45人と消防隊、救援隊が鎮圧・救助にあたった。結局17人が負傷し4人が病院に運ばれベビーカー1台がもみくちゃにされて破損。「殴り倒されて生き残るのに必死でしたよ。みな私の上にいたんです」。年配の女性は状況を生々しく語った。

 ちなみにこのヘンリコ郡。iBookの払い下げは今回が初めてではないようで、前回の払い下げ品は今月イーベイで376ドルの落札価格がついている。乱闘もなければ利益も出る。次回は最初から競売にすべきだろう。(米サンフランシスコ発)