旅の蜃気楼

勝った、勝った、また勝った

2005/10/10 15:38

週刊BCN 2005年10月10日vol.1108掲載

▼勝った、勝った、また勝った。9月29日、阪神が優勝した。強い強い阪神だ。どうも、強すぎる。「何が起きているのか」。親子で虎キチの古い友人に電話した。「おめでとう」。「ありがと!」。「強すぎるんじゃないかい」。「そうなんだよ」。「もうファンをやめたら」。「何を馬鹿なことを…。でも強い巨人を倒しにいくから…」。「そこだろ。強い敵に戦いを挑むトラだから…だろ。巨人ファンに鞍替えしたら?」。「阪神ファンは1度なったら一貫性があるの!」。相変わらず息巻いている。

▼「でも前回とはちょっと違う気分だな」。といって話がすすむ。「前回の優勝の時にはよー、娘が結婚してよー。二重の喜びだったんだわ」。「そうだったね」。「今年の3月には息子の結婚式があってよー。父親の挨拶の時に、今年は絶対、阪神が勝ちます。“六甲おろし”を歌いたいぐらいです、といったんだわ。親子でほんとに歌おうと思って、横を見たらよー。ヨメのお父さんが泣いとらっせるんだわ」。「ほうー」。「俺も娘の時には泣きっぱなしでよー。そんなもん、うたえーせんわー」。光景が浮かぶ。「バースの時はよー。仕事が一番苦しいときで、阪神優勝が励みになって、今があるんだわ」。いい話だ。「もう、俺的にはよー。今後、優勝せんでもええと、思っとるんだわー」。変に神妙だ。「うそつけー」。

▼日本シリーズはどうなるか。それはBCN編集部にとっても大きく関係してくる。阪神のヘルメット脇に“Joshin”と書いてある。もちろん、上新電機である。前回の日本シリーズで編集部は、社長の土井栄次さんと賭をした。阪神がシリーズ優勝したら、『土井社長はキーパーソンに登場する』である。しかし残念な結果に終わった。阪神のことだから2度とチャンスはない、と思っていた。ところが、今年の日本シリーズ優勝は期待できそうだ。対戦相手はソフトバンクになりそうだからだ。球団オーナーの孫正義さんは1981年の日本ソフトバンク創業期に世話になった人を、7人の大恩人としてとても大切にしている。当時の上新電機社長・故浄弘博光さんがその1人だ。さて、土井さんのBCNキーパーソンの登場は実現するか。がんばれ、阪神。(本郷発・奥田喜久男)
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