▼パスポなび。外務省が開いているパスポート申請に関する情報サイトだ。電子申請の仕方など、役所にしては親切な作りだなと感心していたのだが…。8月28日現在、電子申請の受付はやめるとは書いてないが、新聞報道によれば廃止は本当らしい。e─Japan計画において、電子政府の象徴的存在とされてきたのが、パスポートの電子申請や、転出入の電子申請だったはずだ。本紙は、e─Japan構想を前向きに評価、数多くの報道をしてきたが、なんだか詐欺にあったような気分である。

▼廃止の理由はコスト高だそうだ。約2年間で利用者は133人しかなく、パスポート一冊あたりの発行費用は1600万円に達していたという。通常は3000─4000円で済むところを4000倍もの費用がかかる勘定だ。5年か10年ごとにしか利用しないパスポート発行に莫大なシステム投資を行ってきたわけで、計画がずさん過ぎたと言わざるを得ない。

▼過去の経験から言うと、パスポート取得に当たって一番面倒だなと思ったのは、戸籍謄・抄本の取り寄せであった。本籍地を田舎に置いたままなので、自分で出向くか、誰かに頼まなければならない。電子政府になって、戸籍謄・抄本の自動取り寄せが可能になれば、便利さが実感できるようになるだろうが、どうもそのようには動いていないみたいだ。パスポートの電子申請にあっても、戸籍謄・抄本は別途郵送が必要だった。電子政府構想の根本的見直しが必要に思える。