【本郷発】新聞に目を通していたら、女子高生の制服写真に目がとまった。「おやっ」と思って、写真説明を読んだら、驚いた。その記事によると、上海の学校が日本の制服を採用するケースが増えている、とある。本当だろうか。疑問が湧いたので、中国の友人に聞いてみた。「その記事は本当ですよ。上海や北京だけでなく、日本の制服をそのまま、“校服”として採用し始めています」。さらに驚くことに「いずれ中国の全土に広がると思いますよ」。本当だとすれば、これは大きな市場になる。

▼学校が制服を採用している国は、そんなに多くはない。だから中国の学校が近隣の日本に倣って採用した。この傾向は数年前からだ。ではなぜ“校服”の採用が増えているのか。それは「PTAの評判がよい」からだそうだ。“校服”であれば、街で目立つから、子供の活動を見張ることができるということらしい。どの国のPTAも思いは同じだ。こんな事情で採用する学校長が増えている。話はこのあたりから、酒気を帯びる。親日家の友人が言うには、中国が採用する制服は“田舎くさい”タイプのもので、気に入らないそうだ。「東京を歩いていると、いかにも“田舎”からきた学校の生徒だとわかる校服があるでしょう。あれと同じ」。さらに話は盛り上がる。日本と中国では街の風景とか、色彩とか、文化の違いはいろいろある。学校の教育方針もそれぞれだ。制服はそれらの要素を組み入れて、デザインしてある。しかし、中国の学校は“校服”に日本の制服をそっくりそのままに採用している。友人は笑いながら、「少しは中国的なセンスを取り入れたファッションにしてほしい」といった感想ももらす。

▼この話をもとに今の中国を整理する。中国の家庭が子供のために新しい洋服を一つ買うことができる家計の状況になった。子供たちの活動の幅が広がり自由度を持った。学校教育では、個別の学校ごとに個性が出始めた。市場経済が先に立ち上がった都市が、後進都市の見本になっている。市場経済が中国全土に広がり始めている。すばらしい発展を実感できる。今年もさらに日中の交流が深まることを願ってやまない。(BCN社長・奥田喜久男)