衝撃的だったバージニア工科大学の銃乱射事件。事件発生後、大学当局の登校禁止や学内の閉鎖/避難勧告が遅れたという非難があった。判断を誤りやすい状況とはいえ、関係者、特に被害者の家族からはこの種の批判が出ても致し方ないだろう。

 しかし、現在の日本で通学途中の学生や出社前の会社員に情報を発信できる組織がどのくらいあるだろうか。携帯電話が普及したとはいえ、突発的な状況下でそれを生かす手順は検討されておらず、「危機管理」は想定された状況下におけるマニュアル策定で終わってしまっているところが多いのではないだろうか。

 今回、大学側は全学生にあてて事件の情報と避難勧告を促すメールを発信。事件後はWebサイトで各種情報を公開し、大学新聞は専用のブログエントリーを立ち上げた。カウンセリング施設の案内や追悼集会の場所まで、情報の集中化と整理に積極的にITを活用している。校長はポッドキャストで声明を発表した。

 2001年の米国テロ事件時には危機管理の概念は日本でもずいぶん変わったはずだ。あれから5年が過ぎた。今回の悲劇を、現在の環境下での危機管理を再検討する機会としてほしい。(ニューヨーク発:ジャーナリスト 田中秀憲)