▼9月26日付の朝日新聞に「通信社配信記事で賠償責任」「掲載紙の責任どこまで」という記事が掲載された。2001年に東京で起こった医療事故訴訟に関連して、共同通信社が02年7月に配信した記事を掲載した地方紙3紙に対して東京地裁が掲載責任を認める判決を下した、という内容だ。報道メディアには「記事内容が明らかに真実ではないと判断できた場合を除き、他人の名誉を傷つける内容であっても免責される」という「配信サービスの抗弁」の法理が定着している。

▼バラエティ番組のヤラセや過剰な演出、勇み足報道などが相次いだ。広告収入の減少に危機感を覚えた大手メディアが、劇場型を指向し、報道される側もその効果を利用した。そのことが「憲法改正」をめぐって報道の自由を規制すべきとする意見に弾みをつけたのは、メディア側にも脇の甘さがあったということだ。そして今度は配信記事の扱い、配信サービスの存在意義を問う判決である。

▼今回の事案では、記事を掲載した新聞社が配信元のクレジットを入れなかった。あたかも独自の取材執筆のようにしたことが司法の判断を左右した。同じ報道機関として考えさせられる重いテーマだ。本紙にしても、取材に応じてくれた人から事実と違った話を聞き、記事として掲載する可能性が皆無と断言はできない。基本は取材する側、される側の信頼関係だ。だからこそ多くの人と会い、じっくり話を聞き、地道に足で稼ぐ取材を心がけたいと考えている。