北斗七星

北斗七星 2007年12月3日付 Vol.1214

2007/12/03 15:38

週刊BCN 2007年12月03日vol.1214掲載

▼「ヒートアイランド現象」で起こる「ゲリラ豪雨」を究明する番組をテレビで観た。新宿副都心や品川地区のビル群の屋上にある冷却塔から舞い上がる熱と蒸気が、東京湾から北上する風と上昇気流に運ばれ、70キロ離れた埼玉・熊谷に「ゲリラ豪雨」を発生させるという。人間が作り出した人工物が、異常気象をもたらすとは驚きだ。いまや、「環境問題」を抜きに世の中を語れない。

▼ここにきて、IT機器に対する「環境問題」の風当たりが強まっている。サーバーやストレージなどは電力消費量や熱量が多く、CO2など温室効果ガスを放出して「オゾン層」を破壊するといわれるからだ。日立製作所やNECなど大手ITメーカーは、排出量削減IT機器やデータセンターなど空調やUPS電源を含め「省電力化」を掲げた製品を投入し、懸命にPRしている。低価格化が進行し、収益性の低い製品になりつつあるIT機器。「環境問題」がIT業界に〝冷や水〟を浴びせないか心配だ。

▼今、プリンタ業界はヒューレット・パッカード(HP)の動きを注視している。トナーの定着で熱を排出するレーザープリンタを主力にする国産プリンタ製品に対し、日本HPは、熱量が低いインクジェットを企業向けに売り込もうとしているからだ。紙の大量出力が「環境問題」に直接響くと、出力制限する大手企業が目立ち始めている昨今でもある。プリンタ業界を継続的に発展させるためにも、メーカーの技術革新が待たれる。
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