▼大田弘子経済財政担当相が国会で「日本経済はもはや一流とは呼べない」と発言して物議をかもした。今、的確な施策を講じれば間に合うと言いたかったらしいが、「IT利活用による国際競争力の強化」を掲げて施策を展開している経済産業省は予想もしていなかった身内からのコメントに、さぞ驚いたことだろう。頑張っているつもりの産業界も、コーチ陣の不協和音を不愉快に感じたに違いない。

▼そのことはともかく、大田大臣の「IT活用でサービス業の生産性を高めなければ」という発言はあまり話題になっていない。大臣がいう「サービス業」が何を指しているのか分からないが、物流や物品販売ではSRMやSCMでIT活用はかなり進んでいるし、そのうえで生産性向上となると、現場で働く人員を削減することを指すと誤解を与えかねない。

▼過日、自動販売機で飲み物を買おうとしたら、自販機から「おはようございます」「いらっしゃいませ」という音声が流れてきた。思わず「お前に言われたかないや」と返答してしまったが、これが「IT活用によるサービス業の生産性向上」であっては困る。

▼サービスとは、ラテン語の「サルヴィタス」(汝が欲することを相手にも行え)が語源。人と人のコミュニケーションを前提にした振舞いを指す。それが心地よさを生み、感謝の気持ちにつながる。つまり手間ひまがかかるもので、効率化、省力化と相容れない。そのことを大田さん、分かっているのかな?