北斗七星

北斗七星 2008年4月14日付 Vol.1231

2008/04/14 15:38

週刊BCN 2008年04月14日vol.1231掲載

▼日本時間の4月2日深夜、FRBのバーナンキ議長は議会で「米国経済は2008年後半にはリセッション(景気後退)局面に入る可能性がある」と証言し、昨年発覚したサブプライム問題の与えた影響の深刻さを指摘した。かつて「アメリカがクシャミすれば風邪を引く」と称されたわが国も、現在では「アメリカがクシャミすれば中国がガタガタ震えだし、日本が風邪を引く」状況。他人事ではいられまい。

▼実際、ガソリンこそ暫定税が失効し値下げされたものの、大半の消費財は「値上げラッシュ」の様相を呈している。特に小麦に代表される食料品の値上がりぶりは、長い間のデフレ暮らしに慣れた日本人に、あの「狂乱物価」を思い出させるものがある。

▼このことはIT関連産業にも無縁ではないだろう。世界を代表するIT産業の過半は米国企業だし、またその製品の大半が中国で生産されているのだ。さらにその中国は、日本最大の貿易相手国となっていることもお忘れなく。米国の景気が後退するとしたら日本経済も無傷でいられないことは、サブプライム問題からも容易に想像がつくだろう。

▼年金や道路特定財源の問題も大事だが、なによりGDPが成長カーブを描くことが国を安定させる。そのよい例が戦後日本を支えてきた高度成長だ。GDPの堅実な成長と、過去には米国頼みだったそれをどのように内需主導型のものに変えてゆくか、舵取りが気になる。
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