北斗七星

北斗七星 2008年4月28日付 Vol.1233

2008/04/28 15:38

週刊BCN 2008年04月28日vol.1233掲載

▼最近はオフショア開発という言葉をあまり聞かなくなった。どうやら、作動不具合などの失敗が続いているからのようだ。オフショア開発は、ソフトの開発を、人件費の安いインドや中国に外注に出せば低コストで仕上げられるということから注目を集めた。ただし、2か国語を使えるバイリンガルを使えば、彼らの給料は安くないので、あまりコストダウンはできないという声は当初から聞こえていた。だが、それだけの理由ではないようだ。

▼大型システムを、日本、インド、中国に分けて発注したケースでは、インテグレートさせたときに必ずトラブルが発生するという。要求定義書をいかに詳細に作成しておいてもである。電子機器など形あるものの世界なら、その組み立て方法を統一化し、彼らに教えることはできる。しかし、形のないソフトの世界では、個人の資質や文化が入り込んできて、一つに合わせようとしたとき、それぞれに反発が発生し、うまく統合できないというのである。

▼本来、ソフト開発は日本人に向いた仕事だという説もある。日本人は協調性があり、困ったとき助け合い、自然のうちに結束することができた。多数の人間が異なるパートを開発するソフト開発にあっては、こうした資質こそが大きな強みを発揮するというのである。その説には一理あると思う。ただし最近は、そうした協調性など、本来の日本人が持っていた美点が薄れつつあるようにもみえる。心配なことだ。
  • 1