▼政府の教育再生懇談会は、子供が小中学校に携帯電話を持ち込むことを「原則禁止」する提言をする。「学校裏サイト」から発生するいじめ事件などを防ぐための「臭いモノに蓋」の考えで、波紋が広がる。通話機能に限定した機種ならどうだとの意見もあるが、急激に進展する情報化社会に逆行している。

▼1980年代後半に世に出た任天堂のファミコン。当時、大人からは「学力が低下する」「外で遊ばない」などと心配する声が相次いだ。「ファミコン禁止」を打ち出すPTAすらあった。だが当時の民間調査では「学力低下どころか能力向上がみられる」と親の懸念を覆す報告が目立っていた。確かに外で遊ばない子供が増え、「体力低下」が目立つようになった。しかしどうだろう。「Wii」では家族間の新たなコミュニケーションが生まれている。

▼今の小中学生は、生まれながらにしてネット社会にいる。ネットと接続するパソコンはすでに一人1台という状況だ。携帯電話を規制したところで、逆に悪質化したサイトが残るに違いない。同懇談会の座長は認知科学を専門にする安西祐一郎・慶應大学塾長。「携帯メールを多用すると直接コミュニケーションをとらず、人間関係形成に影響する」というのが持論だ。しかし、良好な関係を築くコミュニケーション・ツールは大人が想像する以上に多様化した。それだけに同氏の理論は当てはまらないだろうし、新しい情報化社会に向けたツールの在り方を検討したほうが賢明だろう。