立ち話

コア 井手祥司社長

2009/01/05 15:38

週刊BCN 2009年01月05日vol.1266掲載

 「15年前、バブル崩壊後の不況を思い起こさずにはいられない」と話すのはコアの井手祥司社長(写真)。当時は仕事の量が激減し、「手が空いてしまうSE・プログラマが続出した」。SIerにとってこうした空き工数は利益を直接的に圧迫する。「もし、2009年、そうした最悪の事態に直面したらどうすべきなのか──」。

 15年前の財務に関連する資料を保管庫から引っ張り出し、過去の取り組みを片っ端から調べた。財務諸表の行間からコスト削減の努力の跡が窺える。資料の束の中から新聞配達やガソリンスタンドなどのアルバイトの日当を調べたものが出てきた。「これは…」と、一瞬息を呑む。いざというとき、社員が外へ出て働く下調べをしたものだった。“出稼ぎ”だ。外資系なら、仕事がなくなった時点で即クビだろう。コアでは社員総出でアルバイトをしてでも雇用を守ろうとしていた。アルバイトに出る前にIT需要は回復し、事なきを得たのだが、日本の古き良き企業文化を垣間見た思いがする。
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