北斗七星

北斗七星 2009年6月15日付 Vol.1288

2009/06/15 15:38

週刊BCN 2009年06月15日vol.1288掲載

▼サッカーW杯のアジア地区最終予選。ウズベキスタン戦に勝利し世界最速で出場を決めた瞬間、ゴールキーパーの楢崎に闘莉王、中沢、長友らのディフェンス陣が駆け寄ってハグを交わす。この試合、後半は防戦一方だった。再三のピンチを凌ぎ切った「守備陣」が健闘を称えあうシーンは、城を守りきった戦国の武士を彷彿とさせた。

▼解説者の堀池巧・元日本代表は「中盤と守りの距離が短い」と、中盤選手が本来の役割を果たせず相手の攻めを食い止められていない要因を指摘した。近代サッカーでは「守備陣」が前線へ攻め入るため、「攻撃陣」以上に足を使う。「攻撃陣」は守備を兼ね備えつつ、前線への司令塔としての役目を担わなければならない。だが、この連係を怠れば、今回のような厳しいゲームになってしまう。

▼観戦しながら企業のIT利活用に思いを馳せた。企業では常日頃の活動をグループウェアなどで情報共有する。ワークフローでは営業パーソンが日々の営業報告をし、受注案件があれば事務方が動いて手配をする。この連係を怠れば、納期が遅れて顧客満足を損なう。一つ一つのシステムとヒトの行動が連係してはじめて結果が出るのだ。

▼ただ、ここまでは案件の「後処理」にすぎない。最近は通信やモバイル環境が発達し、顧客先などでリアルタイムに情報を取得・共有できる。前線にいる司令塔が社内データで最新状況を知り、顧客へアプローチするスタイルが確立できなければ生き残れない時代なのである。
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