旅の蜃気楼

外国では、なぜか“愛国者”になる

2009/06/22 15:38

週刊BCN 2009年06月22日vol.1289掲載

【台北発】先週に引き続き、「コンピューテックス台北」(6月2~6日)を視察した際の話題をお届けする。

▼国際空港は国の顔だ。空港の大きさ、造形、色合い、通路のルックス、広告、そして匂い、それぞれが違う。その国独特の趣を感じる。ポスター広告などで異国らしさが端的に現れるのは、文字だ。アラビア語は日常見慣れない文字なので、最も異国を感じる。韓国は隣国なのに、文字はどうしてこんなに違った形をしているのか、不思議に思う。その点、漢字はどこで見ても親近感を覚える。日本の文化のルーツは中国に間違いない、といつも思う。株式会社BCNと、私たちも社名にアルファベットを使っているように、英語は見慣れている。とくに英文字の商品名は多い。商品名をひと目見れば、その出身国が浮かんでくる。台北の桃園国際空港で「ELECOM」の広告を見た。ITデジタル商品のショップの中にあった広告だ。「Canon」の広告もある。なんとなく嬉しかった。「頑張れ、にっぽん」といった気持ちだ。

▼ITデジタル商品は、カメラに比べると新参者だ。エレコムの商品名がキヤノン同様に国際化するように、どんどん頑張って欲しいものだ。台湾の人たちは成田空港で、ASUSの広告を見ると、同じように感じるのだろう。世界に出ると、母国が恋しいものだ。

▼台湾には世界のIT企業の最先端情報が集まっている。台湾の企業が集まれば、世界のIT製品の明日が手のひらに乗っているということだ。世界のパソコンボードの8割は台湾企業製と言う人もいる。コンピューテックス台北の開催期間中だった6月4日、中国・天安門事件の20年目を迎えた。台湾のIT産業が立ち上がったのもこの時期だ。台湾の動きは政治ばかりでなく、IT産業の明日にとっても大きな影響力をもっている。台湾、中国、韓国、日本の4か国は、役割を分担しながら、世界の一大IT生産基地になるだろう。牛に引かれて台湾詣でが増えそうだ。(BCN社長・奥田喜久男)
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