北斗七星

北斗七星 2009年12月21・28日付 Vol.1314

2009/12/24 15:38

週刊BCN 2009年12月21日vol.1314掲載

▼「今年(2009年)の漢字」は「新」に決まった。毎年、日本漢字能力検定協会が16万人以上の応募集計を基に決める「今年の漢字」。ここ2年は、「偽」「変」といった、社会の暗部を表現した漢字が続いた。ここへきて、「新しいこと」に期待するムードが高まった。この漢字を選定するうえでキーとなったのが「鳩山新政権」。新政権には、この上げ潮ムードに水を差さない国政を求めたい。

▼IT業界の2009年はといえば、市場は大幅にシュリンクした。漢字一文字で表すと「減」となる。IDC Japanの調査によれば、09年の国内IT市場規模は、11兆8488億円で前年比マイナス7.7%と大幅な「減」少を予測。また、ITRの「国内IT投資動向調査」では、01年の調査開始以来、09年はIT投資が初の前年比マイナスになったという。

▼振り返れば、09年の最大のトピックは「クラウド/SaaS」だった。この仕組みでは、ハードウェアを中核としたITインフラは売れにくい。ハードの販売に頼るシステム構築が厳然と残るなか、IT市場が縮小するのは、自明の理といえる。

▼「減」を選んだのは、ITインフラが「減」った年だったことも理由として挙げられる。しかし、IDC Japanの調査報告は続ける。2010年にはITアウトソーシングが堅調で全体がプラス成長する。「クラウド/SaaS」市場は3年後に1兆円を超え、全体の10分の1を占めるとされる。2010年、ITベンダーのパラダイムシフトが始まるだろう。
  • 1

関連記事

IDC、国内産業分野別IT投資動向・予測の最新値、本格回復は2011年以降