旅の蜃気楼

B級グルメの街・神田の中間報告

2010/07/01 15:38

週刊BCN 2010年06月28日vol.1339掲載

【神田発】B級グルメおじさんの街・神田。BCNがこの地に引っ越して、はや3か月がたった。JR神田駅下車、西口商店街を突っ切って外堀通りに出る。交差点の角に牛丼の「松屋」がある。その隣の内山ビル2階が、BCNのオフィスである。会社を出て東西南北のどちらに向かっても、JRや地下鉄の駅に行き着く。ところが、どの駅に向かう間にも居酒屋、寿司屋、鰻屋、焼き鳥屋、ラーメン屋が立ち並んでいる。軒先には「サービスセット」の幟が、ゆらゆらと揺れている。ビールと寿司で980円。思わず暖簾をくぐってしまった。味は悪くない。弾みがついて、お支払いは計3000円。盛り上がり過ぎると、5000円也。そんな調子で夜の神田を頻繁に市場調査していると、何だか体重が3kgばかり増え始め、一方で軍資金が枯渇し始めた。これはいけない。いったんここは、市場調査の中間報告をまとめて冷静になろう。

▼神田のすぐれた点は、駅に近いことだ。なにせ終電を追いかけることができる。飲んべは、いつまでも席を立たない。はっと気がついて、時計を見る。あと、1分、走れ! さすがに“あらかん”ともなると、体がきついので、せめて月1回だ。店が多いから、好みで選べるのがよい。店の雰囲気というか、主人の店づくりも多種多様なので、どこかの店で行きつけができる。どうも、社員はそれぞれに、行きつけの店をつくったようだ。

▼行きつけの重要な条件はお勘定だ。お支払い価格は1000~5000円。この柔軟性のある価格幅がB級グルメおじさんの街のタイトルを輝かせている。ただし、純米大吟醸をグビッとやるとか、旬の食材をサクッと戴くとかの世界になると、これは筆者の苦手分野だから、週刊BCN記者の『行きつけの店』の取材に委ねるとしよう。B級グルメ店の戦いは夜以上に昼が激しい。昼食で引きつけて夜で稼ごうという作戦か。神田は寿司屋が多い。江戸っ子寿司は味覚・接客・価格のバランスがいい。鮨文は10席のこぢんまりした店だが、味覚と接客サービスを売り物にしている。人恋しい時にはなかなかいい。神田を味わうのはこれからだ。楽しみなことだ。(BCN社長・奥田喜久男)

この日は、産地直送の帆立貝の味を愉しむことができた
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