北斗七星

北斗七星 2010年7月12日付 Vol.1341

2010/07/15 15:38

週刊BCN 2010年07月12日vol.1341掲載

▼「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」。イタリア・サッカー界の英雄でストライカーのロベルト・バッジオ選手が、1994年のアメリカW杯でPKを外して敗戦となった際に発した言葉だ。南アW杯の日本対パラグアイ戦。駒野選手がPKを外した際に、この名言がツイッターを駆けめぐった。日本の善戦を称え、罵詈雑言を一蹴する配信だった。

▼コンゴの村でタンクローリーが横転して爆発炎上、住民220人が死亡した。死者のほとんどは家の中でW杯観戦中だったという。それほどまでに、W杯は世界中で盛り上がりをみせた。アジアでは、日本と韓国、北朝鮮が出場し、中国は代表チームが出場しないにもかかわらず、W杯の話題で盛り上がっていた。

▼世界の耳目が集まるなか、日本代表は「和の力」をアピールした。岡田武史監督は言う。「うちは個々のレベルでは強豪に負ける。でも、チーム力で勝てることを示すことができた」。今回のW杯で視聴率がスポーツ中継で過去最高を記録したのは、多くの日本人が“らしさ”にノスタルジアを感じたからだろう。

▼日本の学校教育は、1990年代から国際化の波を受け、集団的な「和」を重んじる指導方法を改め、世界に通用する人材を育成するため、「個性重視」を学習指導要領に掲げた。いまは、この「個」を勘違いした人たちの暴走が目立つ。日本の産業は産官学で世界に通じる何かをつくってきた。再度、「集団」に立ち返る視点があってもいい。
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